Editors Choice

Wednesday, December 16, 2009

2010年、宿屋大学は株式会社宿屋大学に進化します。

2010年、宿屋大学は
株式会社宿屋大学に進化します。


「筋金入りのホテリエ」の育成を、目指して

「日本のホテルのサービスは世界一素晴らしい。でも、ことマネジメントとなるとグローバルスタンダードからかなり劣後しているのではないか」
 これは、国内外のホテル業界をよく知る人が共通して持つ意見です。
 なぜこういう状況になってしまったのでしょうか。
 その最も大きな理由は、多くのホテル業界人が持つ「ホテルはこうあるべきだ」という固定観念であり、顧客満足至上主義です。
 ホテルもビジネスです。きちんと利益を残し、それを給与としてスタッフに還元していかなければ産業としての発展は見込めません。
 日本のホテル業界に最も必要なのは、CS(顧客満足)、ES(スタッフ満足)、Profit(利益)をバランスよく高めることのできるプロフェッショナルホテルマネジャーです。現場のホテルオペレーションを理解し、ビジネスや数字にも強く、オーナーや投資家ともわたり合える「筋金入りのホテリエ」の育成が急務なのです。日本のホテル運営会社や日本人ホテリエが、世界のホテルオペレーターと伍してビジネスを推し進め、グローバル社会で生き残っていくためには、この筋金入りのホテリエ集団であるべきであり、筋金入りのホテリエであるべきなのです。
 しかしながら、この不況下でホテルは正社員を削り、給与は上がらず、優秀な人材は、より魅力的な産業にどんどん転職していきます。結果、次代のホテル業界を牽引する人材が少なくなり、極めて危機的な状況に陥っているのが現状です。
業界は、進化どころか、退化しているのかもしれません。
 2010年、宿屋大学は企業化します。(株)オータパブリケイションズと東京YMCA国際ホテル専門学校の共催事業として、セミナーや講演会、講座を、2000年から続けて参りましたが、これからはよりバージョンアップしたビジネススクールに進化します。
 CS、ES、Profitをバランスよく高めることのできる「筋金入りのホテリエ」育成、次代のホテル業界を牽引するリーダーの育成を主軸に、ホスピタリティ産業に従事する方々の応援に全力であたっていきたいと思います。
                                       近藤寛和


・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・・―・―・―・―

想い(未来)とこれでま(道程)

 ホテリエという仕事が、小学生が就きたい職種ランキングトップテンに入ること。「日本には優秀なプロフェッショナルホテルマネジャーがたくさんいる」と世界に知れ渡ること。
 宿屋大学は、こんな未来を目指しています。少々長くなりますが、私がなぜこういう志を持つに至ったかをお伝えしたいと思います。
 振り返ってみると、発端は『ホテル業界就職ガイド』という本を1996年に創刊したことかもしれません。当時、テレビドラマの影響もあって、ホテルマンになりたいと思う若者はたくさんいましたが、ホテル専門学校の学生はともかく、大学生にとっては就職活動のノウハウも情報も非常に限られていました。そんな学生さんをサポートしたいと考え、就職ガイドを出版し、就職セミナーを開催しました。
 その後、さまざまなイベントやセミナーを通して、目をきらきらさせながら「私、なにがなんでも一流ホテルマンになります!」と熱く語るたくさんの学生さんと出会いました。彼らの熱い思いに応える形で精一杯応援し、就職活動の喜怒哀楽を共にしました。そして春には数多くの若者をホテル業界にお迎えしました(私はホテルが好きというよりは、彼らが好きでこの仕事をしているのだと思います)。
 ところが、パッションを抱き、優秀で努力を惜しまない素晴らしい若者も、数年たつと、こんなことを言うのでした。目の輝きはすでに失われています。
「ホテルはもういいです。他産業に転職します」
 労働時間は長く、理不尽なことばかり、それでいて安月給、5歳年上の先輩を見ても生活が辛そうなので自分の将来もあの程度かと思うと見切りをつけたくなった、というのです。確かに、このような壁にぶつかるのは自身の甘さもあるとは思います。しかし、ホテル企業サイドにも大いに問題があるのではないでしょうか。キャリアパスを示すことができず、低い労働生産性を高めようとしない、コンプライアンスに抵触するようなことが未だに多く残っている……。
「この部分を改善させなければ、ホテル業界人は幸せになれない」
 現役ホテルマンに会うたびに、こういう思いを募らせました。

ホテルマンのビジネス力を高める

 業界を改善し向上させるためにはどうしたらいいか。そして、私はホテルのビジネス力やマネジメント力を強化し、労働生産性を高め、利益率を高め、かつ働く人の満足度も高められたらおのずと業界は向上するのではないかと考えたのです。
 2000年4月に開催した宿屋塾は、そんな想いがきっかけでスタートしました。
 第一回は、当時山梨学院大学の教授をされていた土井久太郎先生に、「儲かるホテルとは何か」というテーマで講演をしていただきました。確か三十人ほどのホテルマンに集まっていただきました。最初の数年間は、その時々の話題に沿った演題で適任の方に講演をしてもらったり、私が出会って面白かった人に「ぜひご講演をお願いしたい」とお願いしたりして、月一回定期的に宿屋塾を開催しました。当時、安く借りられる会場探しで困っていたとき、東京YMCA国際ホテル専門学校の小畑氏が宿屋塾の志に賛同してくれ、「うちを使ってください」と教室の無償提供を申し出てくれました。
 2004年からは、「ホテルマネジメント入門講座」をスタートさせました。シティホテルに就職した大卒ホテルウーマンから発せられた、「現場の経験なくマーケティング部の配属となり、ホテル全体が見えないので、ホテルビジネスの構造を体系的に分かる講義があるといいのですが」という声を耳にしたのがきっかけでした。
 専門講座をつくったのは2006年のことです。「ホテルマネジメント入門講座」は、宿泊論やマーケティングといった各テーマの基礎知識を伝えることが目的ですが、一つのテーマをさらに深く学ぶためのシリーズ講座の必要性がでてきたことから開設したのです。これまでに、「ホテルHRゼミ」、「ホテリエのためのロジカルシンキング」、「飯島ゼミ」、「ユニフォーム会計ゼミ」など、多彩な講座、ゼミをその都度必要に応じて開催してきました。
 2008年には、宿屋塾の開催回数が百回を数え、これを記念して当時開業間もなく話題を集めた東京ディズニーランドホテルの宴会場で、4人の人気スピーカーをお呼びして盛大に開催しました。

希望溢れる未来を共有したい

 第一回宿屋塾を開催したときから、来年がちょうど十年になります。延べ一万人以上の方が受講してくれたことになります。
 本来、ホテルは、国際的な職場であり、文化・流行の発進拠点ということで、若者の憧れの仕事のはずです。海外では、ホテルの総支配人ともなれば町の名士として尊敬される存在です。ホテリエという仕事は、そうあるべきなのです。
 宿屋大学は、ホテルの現場で必要な実践的な知識、ノウハウ、スキルを的確に伝え、日本のホテルマネジメントのレベルを向上させたいと強く願っています。そして、最初に述べたヴィジョン、つまり、「ホテリエが、若者が憧れる仕事になり、日本が優秀ホテリエ量産国になる」未来を真剣に目指します。そのため、2010年、企業化します。出版社や専門学校の一つの事業ではなく、一企業として「ホスピタリティビジネスに特化したビジネススクール」を運営し、このヴィジョンを業界の方々と共に実現させたい。

 みなさん、こんな未来、一緒に描きませんか。